アクアリウムセラピー®Ⅱ
アクアリウムセラピー®Ⅱ
アクアリウムセラピー研究家 東城 久幸
皆さんは歯科医院は好きですか?相変わらずの唐突な質問ですよね。
余り好きと言う人は少ないと思いますが、今の私はけっこう好きですね。
インプラントの手術も寝ながら受けられます。
しかし昔は本当に大嫌いでした。
そもそも私が幼い昭和の時代では歯科医院に行くときは虫歯になって痛みを感じてから行くと言う認識でしたね。
そして歯が痛くて仕方なく歯科医院へ出向くのです。恐る恐る入り口から中に入ると小さな小窓から受付の人が声をかけます。
昔の話なので当然予約などはしていません。「歯が痛いんです」小学校4年生の私はそれを伝えます。
「ではそこでお待ちください」と言われ待つ場所には長椅子と丸椅子がいくつか置かれていました。薄暗い部屋はまるで処刑を待つ受刑者の気分。
そしてついに恐怖の拷問部屋の扉が開きます。
部屋に入ると真ん中に拷問椅子が置かれています。今のように白いリクライニングシートではなく黒くて垂直の椅子です。
使う道具は毎回火で炙(あぶ)り使用します。それがその時代の消毒です。
よくよく見ると足元には大きなペンチや金づちが並んでいます。それらがまた拷問部屋を引き立てます。
先生はおもむろに口内を除き込みいよいよ拷問の始まりです。
院内に響き渡る独特な「キーン」と言う高音の出る道具は容赦なく歯を削りそれは神経に到達して痛みを感じるまで止まりません。
子供の私は両手を握りしめ目からは涙を流しながらも必死に耐えます。
我慢できない痛みを感じそれを先生に全身で伝えることでようやくその拷問機械は一旦停止します。
治療中はそんなことの繰り返しです。
最悪なのは親知らずである奥歯を抜く時です、ここぞとばかりに足元に並べられている拷問道具が活躍します。当然ながら麻酔をしますがその麻酔注射自体が今の物とは全く違い地獄の痛みを伴います。この痛みと激しい苦痛は小学生の私には限界を超えていました。だんだんと気分が悪くなり気が付くと酸素マスクを付けられていました。その大型ボンベもまた拷問部屋にはとてもお似合いでした。
口と唇、そして顎までが変形する位、腫れあがり帰ってからも痛みは2~3日続きました。
もちろん虫歯にならなければ良いことなのですが、そもそもその時代の歯磨き習慣は本当にいい加減なものでした。
小学校の朝礼では歯磨き体操なるイベントが時折開催されていましたが歯磨きは上の歯は上から下へ、下の歯は下から上へ、歯茎を傷付けない様優しく磨きます・・・
今思えばそんないい加減な磨き方をしていたら虫歯になるのは当然でしたね。
これが昭和時代の歯科医院なのです。
子供時代の恐怖イメージは大人になった今でもトラウマとなり歯医者は大嫌いになったのです。
しかし現在は違います。少なくとも私の知る歯科医院のほとんどがとても綺麗な待合室でそこにはアクアリウムセラピー®が必ずあります。
アクアリウムは瞬時に人の気持ちを落ち着かせる効果があることが歯科医院では常識となりつつあるのです。
綺麗でおしゃれな待合室では決して無駄に待たされることはありません。通される部屋は窓から心地よい日差しが入り、耳には心安らぐ癒しのBGMが聞こえてきます。 さらに嬉しいのはとても素敵な女医先生。リクライニングシートは眠りに入るような心地よさです。
今の時代、さらにこれからの時代を生きる人たちが羨ましいですね。
コロナ禍の今こそアクアリウムは待合室にパーテーション効果も生み出します!
それでもまだまだ時代遅れの医院は時折見かけます。
待合室では間違ってもテレビや治療中のビデオ等は見せてほしくありません。ご自身の医療技術をアピールしたいこととは思いますが歯科医を目指すわけでも無い私達にとってはリアルな映像は気持ちが悪くなるだけなのです。
歯科医院の先生は患者さんの心も大切にして下さい。患者であることを忘れるような場所にして欲しいと願うものです。
アクアリウムは歯科医院の待合室にピッタリです。生きたサンゴが光合成をするシーンを心地良い音楽と共に見ているとそこは歯科医院ではなくなり、まるでどこかの避暑地にでもいる感じになるのです。
ポイントなのは気持ちが安らぐことにより治療がはかどり、治療後の完治も確実に早まるのです。
これは脳の記憶作用が働く結果です。ストレスを生み出す要因となる恐怖を感じることで自然治癒力は確実に低下してしまいます。
逆に避暑地感覚の癒される空間では脳自体がリラックスモードになるのです。脳の波長はα―(アルファー)波~θ(シータ)波に変わっていきます。
とてもリラックスしている時やレム睡眠時に検出される脳波です。
これから医療に携わる医師は患者の心理的な感情を上手にコントロールしてください。それは医院の外観から待合室に入る所からすでに始まっているのです。