魚の突然死
東城久幸です。
みなさん、冬に向かうこの時期ヒーターの調整はできていますか?必ず動作確認をしてください。作動していても長年使う物は突然切れたり、通電しっぱなしになる事故が発生しています。
本日TOJO Familyさんからお電話で質問を受けました。内容は海水魚が今年なんの前触れもなく突然死ぬことが多いと言う物でした。
「どうしてでしょう?」と言われてももちろん直ぐに答えを特定することはできません。
外傷がないからと言って他の魚にイジメられた可能性は0ではありません。追いかけられるだけでもストレスになります。
一つ一つ確認しながら答えを導き出し、なるべく無駄な死因の状況を無くしていきましょう。
水槽はどれくらいのサイズですか? 濾過槽は? オーバーフローですか? プロテインスキマーは入れていますか?
魚が病気でもなく何の外傷もなく突然死ぬ姿を見るのはとても悲しいことですね。
でも魚達の気持ちになって考えて懸念材料を一つ一つ排除していけば100%ではなくても、そんな死に方を目にしなくても済むようになると思います。
まずTOJO Familyである限り最低限の水替えはしていますか?もちろん彼はしていました。
1mの水槽の中にはハギやヤッコ類が5~6匹入っています。
【水の衛生状態?】
まずは水槽の衛生面を考えてみましょう。水替えを定期的に行っている限り水は汚れていないとは思います。
それでも底砂の中やろ過材の中に悪さをする微生物や病原菌などが繁殖している可能性もあります。
底砂を定期的にかき回していますか?
① 底砂の中にも好気性バクテリアが存在しますが、定期的にかき混ぜることが悪玉バクテリアを排除し衛生的な状態をキープする最善の方法になります。
パウダーサンゴ等細かい砂の場合は粗い目の網を使い少しずつ底砂をかき混ぜましょう。その際はホースポンプで舞い上がった汚れを吸い取りましょう。
この作業は汚れきってから一度に行う物ではなく、毎回のメンテナンス時に少しづつ場所を変えながら行います。
②次は濾過槽のろ過材を循環ポンプを止めた状態で濯ぐように汚れを落とします。その際の汚れた水も吸い取りましょう。この作業も毎回少しずつ行うことがベストです。
③水槽内の岩やライブロックも同様にしてください。注意することはバクテリアが流れ切らない程度に「優しく」してください。
定期的に水替えと同時にこの作業をしている限り水が悪くなることはありません。
【魚のストレス】
魚の外傷がない死因で考えられる一番の要因は「ストレス」です。これは意外に気が付きにくい物ですが、魚達の気持ちになり切り見ていると明確に分かって

きます。
【魚達の睡眠時間】
魚は睡眠時間が大切です。狭い水槽(例え数メートルあったとしても)に入る魚達の理想の数は1匹です!他の魚からのストレスが無くなり、のんびりと泳ぐことができるようになります。しかしアクアリウムを仕事とする限り、お客様の水槽に1匹だけでは商売になりませんね。だからこそ隠れるスペースが大切になってきます。特に魚達は夜寝る時は自分の決まったスペースで寝ています。水槽内に入る魚達全ての隠れられるスペースがあることが大切です。
【夜水槽には必ずカバーを掛ける】
そして夜間から早朝は必ず水槽にカバーをかけてください。この作業が魚達のストレスを無くす一番良い方法です。水槽に掛けるカバーはバスタオルでも衣類でも何でもかまいません。できれば2枚以上重ねることをお勧めします。夜は18時くらいになったらかけてあげましょう。朝カバーをめくるのは自分たちが起きてからで大丈夫です。ただしカバーを外すときはゆっくりと外しましょう。魚には瞼が無いので急に明るくなると驚きます。カバーは2重3重に掛けることがベストです。
とにかくゆっくり寝てもらう事が魚達のストレスを無くし自然治癒力を増してくれます。
【水流】
水流は目に見えにくい物ですが水槽内には必ず水流の通り道ができています。魚達が流されたりする状況はストレスとなります。なるべく強い水流にならないように工夫しましょう。

【良質のフード】
魚達が喜んで食べていたとしてもそれが体に良い物かは疑問です。特に安価なフードは防腐剤など魚達の健康に良くない成分が入っています。TOJOではドイツ製のセラの製品を推奨致します。養殖用に作られているフード(おとひめ等)は成長促進剤などが入り魚達が良く食べ早く成長しますが、必ず寿命が短くなります。突然死の原因にもなります。
フードの量も魚の種類によっては一日3回以上必要な場合もでてきます。特に大きくなる魚には多めのフードが必要です。
※セラのフードは初め食べてくれない魚もいます。それでも根気よく与え続けると必ず喜んで食べる様になってきます。
毎日魚達にご飯(フード※絶対にエサとは言わない)を与える時に魚達の状態を一匹一匹確認しましょう。全てのヒレがボロけていないか?ウロコの状態は正常か?色合いが悪くないか?目の状態、エラの状態、呼吸の速さ泳ぎ方、等を確認しましょう。
【電気器具の不具合】
水槽内に入るヒーターなどの不具合で微電流が流れたり、ヒーターの熱で火傷をすることも有ります。長年使用している物は新しい物に取り換えてください。
【照明器具の点灯時間】
飼育する魚達に取って照明は必要なものではありません。むしろない方が落ち着きます。
極力照明の点灯時間は短くしましょう。
【水温の変化】
魚達の水温は季節で±3℃程度は上下して構いませんが、1日の中でそれ以上変化することは大変なストレスを与えてしまいます。
特に小さな水槽は水温の変化が激しいため注意が必要です。ご家庭や事務所のエアコンの吹き出す風が直接水槽に当たってないか等も確認してください。
【老衰】
とうぜん魚達にも壽命があります。しかし雑誌や知識のある方たちの考えより魚達は長生きをします。海水魚ではどんな魚も10年以上は生きています。寿命になる場合はその前兆が数週間から数カ月見られ少しずつ調子を崩し最期を迎えます。自分の所に来てくれた魚達を定命を迎える生涯大切にしてください。
【結論】
魚達のストレスを無くす工夫はたくさんあります。水槽内にたくさんの魚を入れないことも大切です。寝かせる時間、水槽にカバーをかけて安心させる、上質なフードで体の内部から健康に保つ、何より私達が毎日魚達をよく観察することが大切な事なのです。
我が家のシリキルリスズメダイは1mの水槽にカクレクマノミ3匹とナンヨウハギ1匹とヨスジリュウキュウスズメダイ1匹とスプリンガーズデムワーゼル1匹とで暮らしていましたが、泳ぎが縦泳ぎになり呼吸が荒くなりました。そんな症状が1週間以上続いてもう駄目だと感じたので、シリキルリスズメダイだけの為に60㎝のオーバーフロー水槽を立ち上げました。するとどんどん調子を戻し1カ月位経つと元の状態より良くなりました。いまでは水槽に入る樽のオブジェを毎日転がして遊んでいます。
Aquarium TOJOのオフィシャルサイトも是非ご覧ください
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